建設会報出雲No.138
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建設会報国土交通省中国地方整備局出雲河川事務所所 長児子 真也いずも3気候変動への対応策「流域治水」の推進 新年明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては、日頃より出雲河川事務所が行う様々な取り組みに、ご支援とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。 斐伊川流域では、斐伊川・神戸川治水事業(通称3点セット)のうち、上流の尾原ダムと志津見ダム、中流の斐伊川放水路はすでに運用を開始し、その機能を確実に発揮しているところです。また、下流の大橋川改修及び中海・宍道湖の湖岸堤整備等につきましても、地域の皆様のご理解とご協力を頂きながら、地域の安全・安心な暮らしを守るべく、着実に整備を促進しているところです。 また、近年は地球温暖化に伴う気候変動の影響に伴う豪雨が全国各地で頻発し、施設能力を超える洪水により、堤防の決壊や内水による浸水被害が多発しています。 斐伊川流域でも昨年7月の出水では観測史上1位となる12時間降水量を記録し、各地で内水氾濫や家屋浸水が発生したほか、日御碕地区では道路崩落により通行が困難になるなど甚大な被害が発生しました。 このように、激甚化・頻発化・広域化する水災害への対応が急務となる中、これまでの河川改修やダム建設等の治水対策のみではなく、流域の地勢的・地形的特徴を踏まえ、降雨の流出抑制や氾濫源での雨水貯留など、さまざまな施策を有機的に結び付け、流域内の皆様と調整・協力しながら、流域全体で水災害による被害を軽減させる「流域治水」へと大きく施策の転換を図るとともに長期計画の見直しも検討しています。 斐伊川流域におきましても、流域全体で実施すべき治水対策の全体像を「斐伊川水系流域治水プロジェクト」として令和4年3月に策定し、毎年プロジェクトのバージョンアップを図りながら、流域の皆様と手を携え各々の取組を積極的に推進しています。 また、農地や山林などの自然環境が有する多面的な機能を活かすため、グリーンインフラの活用により、治水と環境が両立した取組も推進しています。 さらに、斐伊川流域の貴重な自然環境を活かした生態系ネットワークの形成による流域づくり・自然再生への取組や、まちづくりと河川空間が一体となった「かわまちづくり」により地域振興と地域経済の活性化を図っています。 ダム周辺地域では水源地域ビジョンをもとに、さまざまな取組を、地域の皆様方と一緒になって推進して参ります。 直轄事業においては、更なる働き方改革として休日の質の向上推進のため、月単位での週休2日の実施に努めることとし、若手技術者などの新たな担い手が増えることを期待するとともに、BIM/CIM、ICT活用や、インフラDXの推進を通じて、建設業のイメージアップと持続的な発展を期待しております。 今年一年が、皆様方にとって飛躍の年になることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。新年のご挨拶

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