この度は、斐川一畑大社線 道路災害復旧工事(3災681号)において、島根県優秀建設技術者表彰を賜り大変光栄に存じます。 本工事は、令和3年7月豪雨により県道斐川一畑大社線の法面が崩壊した箇所において、法面工、落石雪害防止工等を施工する災害復旧工事でした。この災害により、猪目町〜河下町区間が長期間にわたり全面通行止めとなっており、地元住民から本工事の早期完成が望まれていました。 施工箇所は海岸沿いの県道で、道路幅員5m、海岸側は断崖、山側は急峻な法面であるうえ、法面崩壊は高さ70mの箇所で幅20mに渡って発生しており、本工事は極めて厳しい現場条件での施工となりました。 施工にあたっては、多くの創意工夫を実施して厳しい現場条件を克服しましたが、その中から、三つの創意工夫について記述します。 一つ目は、掘削機械の登降方法の工夫です。 本工事の掘削は『セーフティークライマー工法』(リモコン操作による無人掘削機)で行いましたが、当初設計における掘削機械の登降位置には既設落石防護網や立木があるため、その位置で登降すると、防護網撤去復旧や伐採作業などが必要となり、追加の施工日数と費用が必要となりました。そこで、県道から掘削箇所まで移動式クレーンで掘削機械を吊上げる方法を発注者へ提案し、施工日数と費用の増加を抑え施工することができました。 二つ目は、落石事故防止対策の工夫です。施工箇所の法面には、岩塊・転石等が多数あり、掘削作業や法面作業時の落石だけでなく、雨風等の自然的要因で発生する落石も懸念されました。また、県道沿いには架空線があり、落石による架空線の切断事故も懸念されました。そこで、作業前の地山点検・浮石除去に加え、各作業に応じた落石防護網の設置、下方県道の立入禁止措置、上方作業員と下方作業員の無線機による連携確認などを実施し、落石事故を防止することができました。 三つ目は、UAV(ドローン)測量の活用です。施工箇所は急峻な法面であるため、測量時の墜落・転落事故等が懸念されました。そこで、UAVを用いた三次元測量を掘削前および掘削完了後に実施し、取得した三次元点群データにより横断図の作成および掘削土量の算出を行いました。これにより、測量が無災害で行えただけでなく、通常1日以上はかかる作業が1時間程度で完了できたうえ、通常の平均断面法では算出ができない部分も含めた精度の高い測量が行えました。 末尾になりましたが、発注者である出雲県土整備事務所の皆様、施工して頂いた協力業者の皆様に心より感謝申し上げます。この工事は1年5カ月の長い工期となりましたが、皆様の御指導と御協力により、施工方法の検討・設計変更協議を重ね、少しずつでも着実に工事を進めることができました。 今後、この経験を活かし、より良い施工ができるよう取り組んで行きたいと思います。いずも株式会社 中筋組土木部 主管小村 啓治建設会報優良工事知事表彰を受賞して9年男の抱負優良工事知事表彰
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